夏への扉

 とある冬の日、我が家の今年21歳になるばーさんが、「外に出してくれ」と玄関の扉を叩くので、僕が扉を開けました。
 すると、外はしんしんと雪が降り積もっており、彼女はうらめしそうに僕の顔を見ると、「この扉は夏に通じていない」と僕に言うのです。
 そこで僕はまだ湯気の残る風呂場の扉を開けてやることにしました。

 ――そうだな、相棒。いつかお前をボストンバッグに隠して、街へ夏を探しに行くとしよう。