そのに。

 実家にいた頃、多少大きめの本屋が家から2.5kmほどのところにありまして。
 デフォルトの移動手段が徒歩であるところの僕はわりと毎週のよーに歩いて通っていた訳です。酷い時は毎日通ってカドフェル制覇*1とかやってました。


 あるよく晴れた春の日、さんさんと照りつける太陽の下、僕は本屋に行く途中のちょっと小洒落た歩道橋をすたすたと登っていきました。すると。


 歩道橋の真ん中に炊飯器が座っていました。


 や、どこからどうみても炊飯器。
 誰がなんと言おうと炊飯器です。
 炊飯ジャーだったかもしれませんが飯ごうではありませんでした。むろん土鍋でもありません。
 何かのブービートラップかとも思いましたがクレイモアではありませんでした。時限爆弾だったかもしれません。
 これでこの炊飯器がほかほかと湯気を立てていたらきっと僕は名状しがたい恐怖に襲われて脱兎の如く逃げだしていたことでしょう。


 しかし僕は何事もなかったかのようにその場を立ち去ったのでありました。


 世の中不思議なことがあるものです。

*1:毎日2〜3巻ずつ買って10日ほどで読了しました