座敷童

 僕の住んでいる家には座敷童が居ます。
 もともとかなり年季の入った家だったのですが、前の入居者はこの姿の見えない同居人を連れて行かなかったようで。
 僕は最初そういう人が棲んでいるとは聞いていなかったので、寝室のドアが「かちゃ」とかひとりでに開くのを見てそれは肝をひやしたものです。
 ちょっと前にあったことですが、僕が寝ている時に玄関でなにやら物音が聞こえ、階段をとてとてと上がる足音が聞こえ、なにやら話し声がするので起き出して見ると誰もいない、ということがありました。


 もちろん、ドアが独りでに開くのは立て付けが悪いせいと、建物の構造上気圧の変化によってドアに圧力が掛かりやすい状態になっていたからですし、話し声は隣家の声が反響して聞こえてくるだけです。玄関の物音は後に郵便受けにチラシなどを投函する時の音だと判明しました。


 しかし、階段の足音だけは今以て未解明のままです。


 まあ、たぶん湿気の関係だと思うのですが、なんでもかんでも科学的に理由をつけてしまうのも味気ない気がして、僕は座敷童が棲んでいるのだと思うことにしています。