赤川次郎

 僕がまだ小学生や中学生だった頃というのは、まだ角川スニーカーも富士見ファンタジアも走り初めの頃で、世の中には「ライトノベル」という言葉が存在しませんでした。
 あの頃僕らのよーな、めぼしい児童文学は一通り読んでしまい、かといって古典をえっちらおっちら読むのはめんどい、という子供が背伸びしつつ手を伸ばす先は「カッパノベルズ」であり「角川文庫」であり「徳間ノベルズ」だった訳ですよ。もちろん目当ては赤川次郎宗田理辻真先田中雅美とかその辺の中高生向けに書かれたミステリだった訳です。
 でまあ、僕もご多分にもれず中学生の頃に赤川次郎の洗礼を受けました。角川と光文社で文庫になったのはほとんど読んだんじゃないかしらん。「第9号棟の仲間たち」は徳間でしたけど。
 今思えば赤川次郎こそは正しく「ライトノベルの騎手」だった訳です。荒唐無稽な設定、破天荒なストーリー、そして科学的考証不在のトリック……学生が主人公の短編とかも結構あった気がします。


赤川次郎ファンの方ごめんなさい。


 今読み返すとやっぱり色々「どーよそれわ」とか思うことも多い訳ですが、あの頃の僕には赤川次郎くらいの“大人っぽさ”が手頃だった訳ですね。いやはや。認めたくないものだな、若さ故の過ちとは。


 既に数年前の話しになりますが、「早川家」シリーズの新刊が出たとかいうので読んでみたら、あまりにもリアリティのない展開でひっくり返りました。いっそ富士見ミステリー文庫から出版されたらいかがですか、赤川先生。